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「あつくるしい」「もうちょっと」「いや、どいて」
一人掛けの少し大きめのソファに二人が座っている。
綱吉が下に座っていて私は間に座らされている。さらに後からまわってく
る腕に抱きしめられ振り払えない。明日は綱吉が仕事だから、暑苦しいと
言って離そうとしても離れない。
「ねぇ、いい加減にしてよ…」「何を怒ってるの?」
何にも怒ってなんてない。ただ私の思いが空回りしてるだけ。
「…怒ってない」「うそ」「仕事、遅れるよ?」
お願いだからはやく行ってよ、これ以上一緒にいると離れたくなくなっちゃう…。
「言ってよ、どうしたのか」「……」「…ねぇ」
言えないよ、そんなの。言ったらあなたは仕事行かなくなるでしょ?あな
はやさしいもの。私はうなじに触れているあなたの唇や、背中から伝わる
心臓の音、回した腕の温かさ、全て離したくなくて、それでも離さなきゃ
いけない。だから理性を保っているのに、
「どうして聞いてくれないの?!」「離さないよ。言って、俺に本当はどうしてほしいの?」
”行ってほしくない”
そんなの素直に言えるわけないじゃん。ただ嫌なだけなのに、思いは空回り。
後を向いて、綱吉に軽くキスをした。驚いた綱吉の腕が緩んだ隙に抜け出
した。ドアを開けて、いってらっしゃい、と一言告げドアを閉めて自分の
部屋へ一直線。またベットの枕にお世話になる、目が腫れるまで涙を枕に
染み込ませるしかできないんだ。
「いかないで、綱吉」
エンドレスリピートが嫌い
(生きていてと願うしかできない私が君の帰りを永遠に待つだなんてもうこりごり!)
081016