いなくなったロックオンはまたもどってくる、きっとそう信じてた 、けどもどってきたのはロックオンじゃなくてロックオンの弟だっ た。
四年振りに会った刹那はただ私を抱きしめて、「すまない、俺が、 ロックオンを…」だなんて言った。誰も悪くないのに、刹那に"ど うしてロックオンは助からなかったのかな、"だなんて聞いてしま った。馬鹿なだよね、私は…ねぇ、ロックオン。
でも本当に悪いのは私や刹那、フェルトにティエリアにアレルヤ、 みんなを置いていってしまったロックオン…ニールなんだよ?生き て帰るだなんて約束破って許さない。
それでも私はニールが恋しくて、ロックオンにすがるの。一卵性の 双子。だけど一緒じゃない。タバコの匂い、言葉、眼差し、全部違 う。

「…俺はニールじゃない。"ニール"のロックオンはもう帰ってこない」
「貴方は帰ってきたじゃない、」
「……」
「お願いだから、"ニールだ"って言ってよ、ロックオン…」
「俺はライルだ、今のロックオンは"ライル"なんだよ…」
「ちがう、ロックオンはロックオンよ、ロックオンは帰ってきたじゃない。」



こんなことしても、ただの八つ当たりにしかならないことは知ってる。

それでも、彼の死が嘘だと思いたくて、



「お願い"ライル"、ロックオンは帰ってきたって言って?ロックオ ンはここにいるって、嘘でもいいから言って?」



初めて会った"ニール"の彼女は笑顔ではなく涙を流していた。 綺麗で、脆くて、ただロックオンを求めていた。
それでも彼女が愛したロックオンは"ニール"で、俺は"ライル"だ。 それでも彼女がロックオンを望むなら俺はロックオンになる。溢れ 出して頬を零れている涙に手をのばして親指でまぶたの涙を拭い、 濡れた唇にキスをした。

"ニール"は死んだ、"ロックオン"はを愛し続ける。

俺は、ロックオンだから…









嘘でしかない僕と
真実でしかない君

(偽りの俺と本物の君との恋)






081011