「パトリック先輩、今週二日ほど休日をいただけないでしょうか?」
「いきなりどうしたんだ?。」
「いえ!ちょっとした用事です。ダメならダメでいいんです!もしも休日が とれるなら明けには倍の仕事をします!だから…」
「構わないぜ、行ってこいよ。このパトリック・コーラサワー様がの休み中に仕事を倍にこ なしておいてやる!」
「あ、ありがとうございます!こんど何か奢ります!!」

駆け出した足は重たくて、嫌な予感がざわざして欝陶しかった。
聞いたよ、右目、怪我したんだってね。利き目なのに…。心配で休日とってロッ クオンの所まで来たよ。宇宙って広いね、捨てたい思いも捨てればきっと永遠に 黒に沈むもの。ロックオンへの思いが捨てられたらどれだけ私達は楽になれるか な?そうでしょ?私と貴方は恋に落ちちゃいけなかった。

「ロック、オン?」
「よぉ、。」

ロックオンの右目には黒い眼帯があった。見ただけで涙が零れた。その涙をロッ クオンは茶化すように「どうした?眼帯があまりにも似合いすぎるお兄さんに惚 れなおしちゃったか?」と言いながら私の涙を親指で拭うのだ。流れ止まない涙 を見てロックオンは私を抱きしめる。

「少し目の治癒力が遅いだけだ。大丈夫、直るから。」

彼の言葉は私を安堵させると同時に不安にさせた。またこのような事が起こった ら私はどれだけAEUで自我を保てるだろう。私には彼に頼ることしかできなく て、彼がいなかったら私は消えそうで、彼のために私が出来ることは彼の名前を 呼ぶことだけ。

「ロックオンロックオンロックオン…!」
「大丈夫だ、俺はここにいる。」
「いや、何処にも行かないで、一人にしないで、私はロックオンがいないと…」

彼の私を抱きしめる力は強まるだけで私はロックオンにすがることしか出来なか った。
急に彼が恋しくなり私は彼の顔にそっと触れて唇にキスを落とした。離すとロッ クオンはその声で私の名前を囁く、"…"って。
やめてやめてやめて、貴方のその唇で私を呼ばないで…狂ってしまいそうなの。

「私は、ロックオンがいないとダメになっちゃうよ。どうして、どうして私達恋 人同士なのに敵同士として戦わなきゃだめなんだろう、どうして神様は私達を出 会わせたのかな?苦しいよ、私にはもうロックオンしかいないのに…!」

ロックオンは私にキスをした。
甘く濃密で、でもどこか切なくて、また涙が零れ落ちたけどこのひとときは最高 の幸せだった。これで私はきっともうロックオンには会えないと悟った。ただの 直感だったの、それでも名残があって彼にもう一度キスをした。



宇宙で貴方を見つけた時には貴方の姿は広い宇宙の黒に沈んでいた。





いけないことだと知りながら、
(蒼と白の機体が目の前に迫った。これでやっと彼と一緒になれる。)






080813