親の都合でディーノさんと結婚した。世間でいう政略結婚だ。 けれどディーノさんには付き合っていた人がいて、私には大切でもない彼氏がいた。 私は彼に別れを告げるのはたやすくて、ディーノさんは別れられなかった。 今まで私は何人かの男の人と付き合った。けれど恋がわからなくて、どれも彼の方から、 お前の愛を感じないと別れを告げられる。最後に付き合った人を今度こそ人を愛そうと努力した。 しかしそれも虚しく闇へと消え失せるのだ。結婚が決まってしばらくして結婚式をした。 彼は人前では笑顔を無理矢理だして私は彼に近付かない様にした。彼には私とはちがって大切な守りたい人がいる。 だから私は近付いてはいけないのだ。 そんな私の気遣いも無駄でディーノさんの彼女は堪えられなくなり自殺をしたらしい、 このなんとも言えない状況に感情がうまく出せなくなった私は心の寄せ所がなくなったディーノに抱かれる。 そして私は彼を愛した。人生で初めて人に愛を注いだ。けれどそんな私の愛は空を切って地へと落ちる。 彼が呼び、求める名前は私ではなく、私のせいで命を絶った彼女の名前だった。

「なぁ、俺は今なにをしているんだろうな、」
「……。」
「好きでもないお前を抱いて。なぁ、お前を絞め殺したいぜ、それくらい俺はお前を憎んでいる。」

ディーノの華奢な手は私の首へと伸びてゆき私は彼の頬に手を伸ばす。触れた手は次第に力をつけて圧が首に掛かる。朦朧とする意識に見えるのはディーノの悲しそうな瞳。私はその鳶色の瞳に言い放つ。

「私も貴方を殺したいわ。貴方を愛したこの手で、」

だんだんと血の流れが悪くなり冷たくなってゆく体を動かして私も彼の首へと手を持ってゆき絞めるのだった。 ディーノの瞳からは雫が零れて私の頬を湿らせた。

「ごめんなさい、ディーノ。貴方を愛して、貴方の大切な物を壊して、貴方の人生を奪って、けれど私は貴方を愛したわ。」
「それでアイツは帰ってこない。」
「だからなに?私が死ぬ前に私が絞め殺して存在を消してやりたいわ、ディーノ。」



熱しやすく、冷めやすいそんな恋
(バイバイ、大人の手でディーノを壊した世界、)



080418