そんな気はなかったのよ、ディーノ

ただ、貴方に知ってもらいたかったの、ただそれだけよ



「、」



ほら、また貴方はそんな声で私を呼ぶ



「ディーノお願い、お願いだから、もう私から離れて・・・」



触れている腕には貴方のぬくもりが伝わってきてくる



「おまえに、行って欲しくねぇんだよ」
「たとえ、貴方のファミリーに危害を加える存在でも?そして、貴方に刃を向ける存在でも?」
「それでも、だ」
「ッ!ディーノ、おかしいよ!どうして?ディーノの仕事はファミリーとシマを守ることよ!!ディーノ、ファミリーを捨てるの?」
「ファミリーは捨てない、守る。お前も行かせない。」
「・・・・・・そう、貴方は私を離してはくれないのね、ディーノ」



掴まれている腕から手が離れた。彼は驚いているのだろう、だって私は彼の手を振り払い刀を向けているのだから。



「ッ」
「ディーノ、私、ディーノとはもう居られないんだ・・・ごめんね、ディーノ」



貴方に刃を向けることは覚悟があった。震えなんてない、迷いもない。
ただ、私は、葬られることを望んでいるのよ。
風を切る刀、風のざわめき、世界の音をシャットダウンするように私は聴力を集中からはずした。
ディーノのムチが私の刀に巻きつき、私の手をスルリと抜け、地へ落ちた。私の両手は胴の横へだらしなくぶら下がっている。



「・・・・・・。」
「なぁ、何があったんだ?俺が何かしたのか?なぁ、どうしてお前は、」
「答える必要はないよ。ディーノへの思いはきえていない。」
「じゃあ、どうして?」
「ディーノを死なせたくないから、」



刹那、拳銃を取り出し、ディーノへ突き出した。






轟く、銃声







その銃の先に何が見える
(何故はずした?)(そうね・・・ディーノを愛したからかしら)



080315